「野球崩壊」に思うこと

「野球崩壊」

非常に面白いタイトルで、なおかつ僕の取り組みにリンクする内容が取り上げられている書籍なので即購入し完全読破させていただきました。

感想は「教材として非常に面白い」ということです。

ですので、この書籍を通しての書評をシリーズとしてブログにアップしていければと考えています。

それでは、この本を読破してまず一番はじめに皆さんに読んでいただきたい章は

「おわりに」ではないでしょうか?

そこにはこうあります。

《ワールドカップの時期など、サッカーを注目することもあるが、わたしは競技としては、野球のように楽しめない。私も心底「野球の味方」だと思う。・・・・・・》

ここで大きく二つに読者の感じ方は分かれると思います。

僕はサッカーも大好きですしヨーロッパチャンピオンシップもワールドカップもそしてJリーグの同行も気になります。

それだけではなく 他の種のスポーツも同じように気になります。僕は高校球児になるまではセーリング、アルペンスキー、空手、アイスホッケー、バスケット、を楽しんでいたので「野球の味方」という表現には違和感を覚えます。

しかし、「野球の味方」という表現がしっくりくる読者もいると思います・・・

その違和感の違いが「野球崩壊」という本のテーマであり本質だと思いますので

ぜひ僕の書評の「はじめに」ご理解して頂ければ幸いです。

◆ 第一章 「プロ野球があぶない」観客動員増の裏で起きたモラル崩壊

第一章から過激なのだが、この章は清原さんや賭博事件の4名を取り上げ野球界のモラルの低さを取り上げている。

そこで、処分の内容を相撲やバトミントンの不祥事と比べているのだが、他の競技より処分が甘い理由としてはこう述べている。

《いまの野球支持層の中心は、「昭和の時代」の価値規範を持った中高年層だ。いわば、野球界と同質の人たちだと言って良い。彼らは多少不祥事があろうとも、野球を見放すことはない。「今さらサッカーや他のスポーツに宗旨替えできるかい」という気持ちがある。しかし、彼らがさらに高齢になり、次世代が消費の主役になったときは、野球はマイナースポーツに転落するのだ。次章以降で詳しく紹介するが、それはもはや不可避になっている。》・・・・

このあとに不祥事と対照的な選手の意見として松井秀喜さんのコメントが出ているのだか

《「こういうことがあると、ファンの方はそっぽを向く。(プロ野球は)子供たちが憧れる世界。プロ野球選手になりたいという気持ちを壊してしまう。それが一番、罪なことだと思いますよ」と締めくくった。まさに松井秀喜が憂慮するようなじたいが今、進行しているのである。》

それでは、僕個人の見解として1つ目の「野球界は処分が甘い」ということについてから考え方を申し上げると、これは野球界に限った事ではなく、日本全体の文化傾向だと思います。リオの前はメダル候補の選手が出場停止になったにも関わらずバトミントンで高橋・松友のペアが金メダルを取ったことで吹っ飛んでしまった・・・・解決しなければならない状況はもっと根深くあるはずなのに目の前の処分を早急に済ませて臭いものには蓋をしてしまっている。

つぎに「昭和の時代」の価値規範だが、次世代が消費の主役になったとき昭和と一緒に歩む野球はマイナースポーツに転落するというのは、少し違和感をおぼえます。はじめにもおはなししましたが、昭和の僕ですら他種目の競技を楽しんでいるのですから、野球だけのファンというのは次世代にはいないように思います。野球もサッカーもバスケットもバレーもフィギアスケートもなんだって楽しむのが次世代の層だとおもうので逆にファンは今後も増えると思うのですが。そしてプロスポーツ大国アメリカでもNFL、MLB、NBA、NHL四大スポーツ全部を楽しむのが一般的だと思います・・・

最後に、松井さんのコメントが競技人口減少と結び付けられていますが、ジュニアの指導を長くしてきた僕の感覚だと、そもそもプロ野球選手をめざす子供は多くない。それよりも甲子園を目指している子供の方がはるかに多い。そこで不祥事が及ぼす悪影響として考えられるのは保護者への影響です。保護者からすれば非常にイメージの悪い事件でありさせたくないスポーツとして今回の不祥事も影響を及ぼすと思います。ですが、保護者からしてもプロ野球選手がやることです。私たちの子供には関係のないこと、別世界のことだと思っている親がほとんどたと思います。一般の人から見ればプロ野球界は「芸能界」ですから別世界というのが世の中の常識ではないでしょうか?

以上のように少し偏っていますが、偏った「昭和の時代」が抱える問題を野球を通して考える本として非常に面白いと思います。野球界だけでなく会社の中にも昭和の化石はあるのではないでしょうか?僕は昭和の化石の良いところ悪いところをしっかり検証し、より良い未来が開ければ良いと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか? 

少しネガティブな内容でスタートする第一章でしたが、小林至さんや鍵山さん、また川淵チェアマンなど現場経験者のお話は非常に面白いのでこの本の書評について少しお付き合い頂ければ幸いです。《第二章・つづく》